セ・リーグにDHを導入したからと言って、パ・リーグに追いつくとは限らない、というお話です。

よく、パ・リーグにはDH(指名打者)制があるため、投手が続投しやすくて成長しやすいし、

8人ではなく9人の打者が常時試合に出るため(=投手は普段ほとんどバッティング練習をしないため、打者としてカウントしないという考え方)、チーム全体として打撃も強くなりやすい、と言われます。

ここ最近、日本シリーズ、交流戦でパ・リーグが勝ち続けているため、

セ・リーグにもDH制を導入しよう、との意見が強くなっています。

 

まあ、冒頭に示した通り、DH制にした方が、投手、打者共に成長しやすいとは思いますし、実際にパ・リーグが強い要因の一つだと思います。

けれども!

これだけが原因とは思えません。

他にも結構大きな要因があるように思えてなりません。

 

その理由を列挙してみます。

まずは、状況について。

・1975年のDH制採用以来、ずっと成績は拮抗していた

 

パ・リーグにDH制が採用されたのは1975年です。

(日本シリーズでもDH制が採用された)1985年からの「日本シリーズでの勝利チーム」は、

1985年~1989年:セ2回、パ3回

1990年代:セ5回、パ5回

2000年代:セ5回、パ5回

2010年代:セ1回、パ9回

となっており、このような格差は、2010年代に顕著となっているだけ、ともいえるのです。

 

・交流戦通算成績も、2000年代は拮抗していた。

 

もう1つ、2005年に交流戦が始まって以来、セ・リーグの通算成績(=全チームの勝敗)がパ・リーグを上回ったのは1度しかありません。

これもDH制を採用せよという意見の大きな論拠の一つだと思いますが、

2000年代のセ・パ通算成績はこんな感じとなっています(引分けは割愛)。

2005年:セ104勝、パ105勝

2006年:セ107勝、パ108勝

2007年:セ66勝、パ74勝

2008年:セ71勝、パ73勝

2009年:セ70勝、パ67勝

ところが、2010年代に入って、

2010年:セ59勝、パ81勝

2011年:セ57勝、パ78勝

2012年:セ66勝、パ67勝

2013年:セ60勝、パ80勝

2014年:セ70勝、パ71勝

2015年:セ44勝、パ61勝

2016年:セ47勝、パ60勝

2017年:セ51勝、パ56勝

2018年:セ48勝、パ59勝

2019年:セ46勝、パ58勝

勝率を計算しても良かったのですが・・・一目瞭然なので、していません。

2000年代は、セ・パの勝差が、5年中4年で1勝~3勝の間に収まっています。

ところが、2010年以降、2012、2014年以外は拮抗することなく、平均して10勝差以上の差を付けられています。

特にここ5年間、ほぼ10勝以上の差が付けられているため、セ・パで差があるイメージがあるのかもしれませんね。

 

・MLBでは、リーグ差はほぼ無い。誤差程度。

 

一方、MLB(メジャーリーグ)では。

DH制を採用しないナショナル・リーグと、DH制を採用するアメリカン・リーグで、ワールドシリーズ制覇チームが偏っている、ということはありません。

NPB同様に、1985年からの制覇数を見てみると、アメリカン・リーグ19回、ナショナル・リーグ15回となっており、DH制を採用したアメリカン・リーグが若干有利とはなっています(ストライキで、1回行われていません)。

が、2010年代を見ると、アメリカン・リーグ4回、ナショナル・リーグ6回となっており、ナショナル・リーグが優位です。

なので、MLBではリーグ差はほぼ無い、と言って良いと思います。

もっとも、MLBでは選手の移動が頻繁かつ大人数なので、戦力差が均衡しやすいのかもしれませんが・・・とは言え、MLBの状況は、一応は参考になるのではないでしょうか。

 

・パ・リーグからは、MLBに多くの選手が流出しています。また、FAでセ・リーグに移る選手も多くいます。

 

このことを踏まえると、むしろパ・リーグの方が弱体化しないとおかしいくらいなのですけどね。

パ・リーグからは次々と生きの良い選手が出てきて活躍しているのでしょうかね。西武、日本ハムなどは、その代表格ですね。

う~ん、何が大きな要因なのか、今一つ確信が持てないのですが・・・むしろ、次の点こそ大きい要因なのではないかと思わざるを得ません。

 

・選手育成システムがしっかりしているチームが強いのでは?

 

よく見ると、2010年代は、「パ・リーグが強かった=ソフトバンクが強かった」と言えます。

10回中6回日本シリーズセ・パ交流戦を制しています。

そのソフトバンクは。

3軍制度の採用、およびとてもよく整った設備で次々と選手を育てています。

私は以前、タマスタ筑後に行ったことがあるのですが、充実した施設を見て驚いた記憶があります。そのことは、こちらのブログにも書きました。

もちろん、施設だけではなく、しっかりと練習し実戦を行うことで選手たちが力を付けていったのは言うまでもありません。

育成制度が大切なことを気づいてか、昨今、3軍制度を採用するチームが増えていますし、育成選手を多く取るチームが増えました。

まだ施設の方が追いついていないチームもありますが、競争を増やし、実戦などの機会を増やすことがキーになると捉えられているのではないでしょうか。

 

・パ・リーグは、MLB的なパワー系の選手を養成している。

 

ここ最近特に顕著なのですが、パ・リーグの選手にはパワー系の選手が多くいます(もちろん、プロとして必要な技術は身に付けた上で、です)。

150キロを超える速球を投げるピッチャーがゴロゴロいるし、バッターもブンブン振り回しています。

もちろん例外の選手もいますけど、総じて「パワー重視=力勝負を重視」と言えるのではないでしょうか。

MLBのみならず、韓国プロ野球などもそうなのですが、強く振る、速い球を投げるという野球の原点ともいえる能力を磨いているのがパ・リーグだと言えると思います。

セ・リーグの場合、1990年代に野村監督がID野球で一時代を築いたりしたことで、今もって緻密な、技巧的な野球が重宝されているのかもしれませんね。

それはそれで見応えがあって面白いのですけど、それだけでは勝てなくなってきているように思えます。

 

・ここ数年ドラフトで、パ・リーグの方がパワー系の選手を好んで取っていると言えるのでは?

 

上記のことは、ドラフト会議などでも垣間見えます。

今年だと、抜群の力、パワーを持っているけど身体ができていない佐々木朗希投手へは、パ・リーグ球団のみが入札しました。

また、日本ハムは、毎年一番すごい選手を指名すると明言していますね。

パ・リーグの方が素材型選手を指名し、育てていこうという傾向にあると思えます(=後述のとおり、育てやすい環境であるとも言えます)。

 

・パ・リーグの方が、チームが弱くてもマスコミ等に叩かれにくい環境のため、選手を試合に出しながら、育てることがやりやすい。

 

前述のとおり、毎年のように選手が流出する西武、日本ハムからは、次から次へと新しい選手が出てきます。

やはり、1軍の場で試合機会を与えられることで、飛躍的に選手の力が付いていきます。

パ・リーグの方が、選手を育てやすい環境と言えそうです。

セ・リーグ、とくに巨人や阪神は、少し低迷すると徹底的にマスコミに叩かれますので、短期間で成果を出すために即戦力重視の傾向があるとも言えます。

 

こんなところでしょうか。

繰り返しとなりますが、もちろん、DH制の採用有無がセ・パの力の差とは、なり得ると思います。

が、それだけでは語り尽せない、その他の要因があるように思えます。

 

近年、3軍制度、育成制度などを導入する球団が増えています。

巨人はここ2年、素材系選手を指名する傾向にあります。

DH制がどうなるかはまだ分かりませんが、少しずつセ・リーグの指向が変わって行き、また格差が縮まっていくような気もします。

まあ、私たちファンにできるのは、事態を見守り、そして楽しんで観ることでしょうね。

今年のようにセ・リーグチームが惨敗することで、改善点、見習う点が見えてくるので、きっと来年はまた違った状況になっているのではないかと思っています。

最後に。

最近、原監督がDH制導入について言及したことで、日本シリーズで負けたからそんなことを言い始めたように言われていますけど・・・

そうではなく、原監督は、「今以上に迫力あるゲームを見せられる」からそのように言われているのではないかと思います。

 

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